「デグーってどこの動物なの?」「なぜこんなに温度管理が大事なの?」と疑問に思ったことはありませんか?デグーを正しく飼育するためには、まず原産地の環境を知ることが最大のヒントになります。デグーは南米チリのアンデス山脈に生息する動物で、その自然環境が飼育のあらゆる基本に直結しています。この記事では、原産地の地理・気候・生態から日本での飼育への応用まで、すべてをわかりやすく解説します。
デグーの原産地は南米チリのアンデス山脈

デグーの原産地は南米チリ(Chile)のアンデス山脈周辺です。
チリは南アメリカ大陸の太平洋側に細長く位置する国で、北から南へ約4,300kmにも及ぶ独特の地形を持っています。
デグーが主に生息するのはチリ中部から北部にかけての山岳地帯であり、アンデス山脈の麓や低山帯の乾燥した草原・低木林です。
この地域は年間を通じて乾燥しており、寒暖差が大きく、湿度が低いという特徴があります。
デグーはこの厳しい自然環境に適応した体を持つため、飼育においても原産地の環境に近づけることが健康維持の基本となります。
原産地の基本情報まとめ
デグーの原産地に関する基本情報を以下にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国名 | チリ共和国(南アメリカ) |
| 主な生息地域 | チリ中部〜北部のアンデス山脈麓・低山帯 |
| 生息標高 | 約400m〜1,200m(低〜中山帯) |
| 気候区分 | 地中海性気候・半乾燥気候 |
| 年間平均気温 | 約10〜20℃(地域・標高により異なる) |
| 年間降水量 | 約300〜500mm(日本の約1/3〜1/4) |
| 平均湿度 | 約40〜60% |
| 植生 | 乾燥草原・低木林・岩場 |
この表からもわかるように、デグーの故郷は日本よりはるかに乾燥していて、年間降水量が少なく、湿度が低い地域です。
一方で標高が比較的低い地帯にも生息しており、極端な高山性動物ではないため、適切な管理があれば日本でも飼育は可能です。
原産地「チリ・アンデス山脈」の環境を詳しく解説

デグーの原産地であるチリ・アンデス山脈周辺の自然環境は、飼育環境を整えるうえで非常に重要な参考情報となります。
ここでは地理的な位置、気候の特徴、そして野生デグーの暮らしぶりについて詳しく見ていきましょう。
地理的な位置と標高|南米チリのどこに生息している?
デグーはチリのコキンボ州からビオビオ州にかけてのチリ中央部を中心に分布しています。
緯度でいうと南緯約28度〜38度の範囲で、これは日本の東京(北緯約36度)と近い緯度に位置することになります。
主な生息標高は約400m〜1,200m程度の低〜中山帯で、標高が高すぎる万年雪が残るような地帯ではなく、草木が生える比較的穏やかな山岳地帯を好んで生息しています。
地形的には急斜面の岩場、低木が点在する乾燥した丘陵地帯、草原が広がる平坦な土地など多様な環境に適応しており、特に岩の隙間や土中に巣穴を掘れる場所を好みます。
チリのアンデス山脈側は太平洋からの湿気が山によって遮られるため、海岸部よりも乾燥しやすく、デグーの乾燥への適応能力と密接に関係しています。
気候の特徴|乾燥・冷涼・寒暖差のある環境
デグーが生息するチリ中部の気候は、大きく分けて地中海性気候と半乾燥気候の影響を受けています。
この地域の年間平均気温は約13〜18℃で、夏(12〜2月)は比較的温暖で25℃前後になることもありますが、冬(6〜8月)は5〜10℃程度まで冷え込む日もあります。
一日の中での寒暖差も大きく、昼夜で10℃以上の気温差が生じることも珍しくありません。
年間降水量は約300〜500mmで、日本の年間降水量(約1,600mm)と比べると極めて少なく、雨季と乾季が明確に分かれています。
湿度は年間を通じて40〜60%前後で推移し、日本の梅雨時期のような70〜90%という高湿度な環境は、デグーの自然界には存在しません。
この乾燥した気候がデグーの被毛・皮膚・消化器系のつくりを決定づけており、高湿度な環境が健康上の大きなリスクとなる理由がここにあります。
野生デグーの暮らし|群れ・巣穴・食性
野生のデグーは非常に社会性の高い動物で、通常5〜10頭以上の群れを形成して生活しています。
群れの中では見張り役、子育て役など役割分担があり、仲間同士で鳴き声を使ってコミュニケーションを取ることが知られています。
住処は岩の隙間や土中に掘った巣穴で、深さ数十cmから1m以上になることもあります。
巣穴は外敵から身を守るだけでなく、気温変化の激しい環境で安定した温度を保つためにも役立っています。
食性は草食性で、乾燥した草、種子、根、低木の葉、多肉植物など繊維質の多い植物性の食物を主食としています。
水分は食物から摂取することが多く、水をほとんど飲まない環境に適応しているため、糖分や水分の多い果物・野菜を大量に与えることは自然界の食生活とかけ離れています。
活動時間は主に薄明薄暮性(夜明けと夕暮れ時が最も活発)で、強い日差しを避ける傾向があります。
また、砂浴びの習慣があり、細かい砂で被毛の余分な皮脂や汚れを落とすことで清潔を保っています。
デグーとはどんな動物?分類と日本に来た経緯

デグーを正しく理解するためには、動物学的な分類と、日本にどのようにして入ってきたかの歴史を知ることも大切です。
チンチラやモルモットと混同されることが多いデグーですが、分類上は明確に異なる動物です。
げっ歯目デグー科|チンチラやモルモットとの違い
デグーの学名はOctodon degusで、哺乳綱・げっ歯目・デグー科(Octodontidae)・デグー属に分類されます。
「Octodon(オクトドン)」という属名は、臼歯の噛み合わせ面が「8の字」型をしていることに由来しています。
チンチラやモルモットとの分類上の違いを以下に示します。
| 動物名 | 科名 | 原産地 | 体重目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| デグー | デグー科 | チリ・アンデス山脈 | 約170〜300g | 社会性が高い、尾が長い |
| チンチラ | チンチラ科 | 南米アンデス山脈(チリ・ペルー等) | 約400〜600g | ふわふわの毛、夜行性 |
| モルモット | テンジクネズミ科 | 南米アンデス(ペルー等) | 約700〜1,200g | 尾がない、草食、鳴き声が豊富 |
デグーはチンチラと同じくアンデス山脈が原産地ですが、別々の科に属する異なる動物です。
体格はモルモットより小さく、チンチラよりも活発で社交的な性格が特徴です。
また、デグーは糖尿病になりやすい体質を持つことが医学研究でも注目されており、糖分の多い食事が特に危険です。
日本にデグーが来た歴史|ペットとして広まるまで
デグーが日本に入ってきたのは1990年代後半〜2000年代初頭頃とされています。
当初は動物園や研究機関での飼育が中心で、医学・生物学の分野では糖尿病モデル動物として研究対象になることもありました。
2000年代に入ると、インターネットの普及とともにその愛らしい外見や高い知性が話題になり、ペットとしての需要が急速に高まりました。
現在では全国のペットショップや専門ブリーダーから入手できるようになり、カラーバリエーション(アグーチ、ブルー、サンドなど)も増えています。
日本ではデグーは「アンデスの歌うネズミ」という愛称でも親しまれており、豊富な鳴き声と人懐っこい性格からSNSでも人気を集めています。
ただし、輸入規制や動物福祉に関する観点から、現在流通しているデグーの多くは国内繁殖個体です。
原産地の環境から学ぶデグー飼育4つの基本

デグーの原産地であるチリ・アンデス山脈の環境を知れば、飼育環境づくりの正解が見えてきます。
ここでは温度・湿度・食事・砂浴びという飼育4つの基本を、原産地の環境と結びつけながら解説します。
温度管理|20〜25℃が適温である理由
デグーの飼育適温は20〜25℃とされており、これはチリ中部の年間平均気温帯と一致しています。
原産地では夏でも高地では25℃を超えることはあまりなく、冬は10℃前後まで冷え込むことがある一方、巣穴の中は外気温より安定した温度が保たれます。
28℃以上になると熱中症のリスクが急上昇し、30℃を超えると命に関わる危険があります。
逆に15℃を下回ると体調不良や代謝低下を起こしやすくなるため、冬場も暖房で室温を保つことが大切です。
特に日本の夏はエアコン必須であり、デグーを飼育する部屋では24時間エアコンを稼働させることが推奨されています。
- 夏季:エアコンで室温を25℃以下に維持
- 冬季:暖房で室温を20℃以上に維持
- ケージ内には温度計を設置し、日々確認する習慣をつける
- 直射日光・エアコンの直風は避ける
湿度管理|40〜60%を目指す根拠
デグーの飼育推奨湿度は40〜60%で、これも原産地チリの年間湿度と重なります。
原産地は年間降水量が少なく乾燥しているため、デグーの体は高湿度に弱い構造をしています。
湿度が60〜70%を超えると皮膚トラブル(皮膚炎・毛並みの悪化)や呼吸器疾患のリスクが高まります。
日本の梅雨〜夏は湿度が80〜90%に達することもあり、この時期は特に除湿器やエアコンの除湿機能を活用して湿度管理を徹底する必要があります。
一方で湿度が40%を下回る乾燥しすぎる状態も、粘膜の乾燥や静電気による毛並みの乱れにつながることがあるため注意してください。
- 梅雨・夏:除湿器またはエアコン除湿で60%以下に保つ
- 冬の乾燥期:加湿器で40%以上を維持
- ケージ内に温湿度計を設置し常時監視する
食事|野生の食性に基づいた餌の選び方
野生のデグーは乾燥した草、種子、植物の根、低木の葉など繊維質が豊富で糖分の少ない植物性食物を主食としています。
この食性を再現するために、飼育下ではチモシー牧草(1番刈り)を主食とし、専用ペレットを副食として与えることが基本です。
デグーは糖尿病になりやすい体質のため、果物・甘いおやつ・糖分を含む野菜(ニンジン、トウモロコシなど)は与えないか、ごく少量にとどめます。
推奨される食事の割合は以下の通りです。
- チモシー牧草:70〜80%(食べ放題が理想)
- デグー専用ペレット:15〜20%(1日体重の約5〜10g目安)
- 野菜・ハーブ類:5〜10%(タンポポ、パセリ、乾燥ハーブなど)
- 果物・おやつ:基本的に不要〜ごく少量
水は新鮮なものを毎日替え、ウォーターボトルまたは陶器製の重い水入れで提供します。
野生では水分を食物から摂取することが多いですが、飼育下では常に新鮮な水を用意しておくことが健康維持の基本です。
砂浴び・巣穴|原産地の習性を活かした環境づくり
野生のデグーは砂浴びで被毛の皮脂・汚れを落とす習性を持っており、飼育下でも定期的な砂浴びが必要です。
砂浴びにはチンチラ用またはデグー用の専用サンド(細かい粉末状の砂)を使用し、砂浴び容器に深さ5〜10cm程度入れて週3〜5回、1回5〜15分程度させましょう。
砂浴びを怠ると被毛がべたついたり、皮膚炎を起こしたりする可能性があります。
また、野生では岩穴や土中に巣穴を作る習性があるため、飼育ケージ内には隠れ家(木製の巣箱やハウス)を必ず設置してください。
隠れ家はデグーが安心して休める場所であり、ストレス軽減や睡眠の質向上に直結します。
- 砂浴び容器:陶器や金属製で安定感のあるものを選ぶ
- 砂の素材:チンチラサンドまたはデグー専用サンドを使用(ゼオライト系推奨)
- 巣箱:木製・陶器製など素材は複数試してデグーの好みを確認
- ケージ内には複数の隠れ家スペースを設けると群れ飼育でも安心
日本の気候とデグーの相性|飼う前に知っておきたいこと

デグーは適切な管理さえできれば日本でも十分飼育できる動物ですが、日本の気候とデグーの故郷・チリの環境には大きな違いがあります。
飼い始める前に、どのような点に注意が必要かをしっかり理解しておきましょう。
原産地と日本の環境を比較|夏の高温多湿が課題
チリ中部と日本(東京を例に)の気候を比較してみましょう。
| 比較項目 | チリ中部(原産地) | 日本(東京) |
|---|---|---|
| 夏の平均気温 | 約20〜25℃ | 約28〜35℃ |
| 冬の平均気温 | 約5〜12℃ | 約3〜10℃ |
| 年間降水量 | 約300〜500mm | 約1,600mm |
| 夏の平均湿度 | 約40〜55% | 約70〜85% |
| 気候の特徴 | 乾燥・寒暖差大 | 高温多湿・梅雨あり |
最も注意が必要なのは日本の夏(7〜9月)の高温多湿です。
東京の夏は気温35℃以上、湿度80%以上になる日も多く、これはデグーにとって非常に過酷な環境です。
デグーは熱中症や湿気による皮膚トラブル・呼吸器疾患を起こしやすく、夏場の管理を怠ると命に関わります。
梅雨時期(6月〜7月)は湿度管理が特に難しくなるため、除湿器の導入を強くおすすめします。
冬については、日本の一般的な室内環境(暖房使用)であれば比較的管理しやすい季節です。
ただし、北海道や東北など寒冷地では冬の保温対策が必須となり、暖房が切れた深夜などに気温が急低下しないよう注意が必要です。
デグー飼育に向いている人・向いていない人
デグーは適切な環境管理と愛情があれば非常に楽しいペットですが、生活環境や性格によっては飼育が難しい面もあります。
【デグー飼育に向いている人】
- エアコンを1年中稼働できる住環境がある(特に夏の冷房必須)
- 動物の健康管理に関心があり、毎日の観察・世話を楽しめる
- デグー診察可能な動物病院が近くにある
- 社会性の高い動物と積極的に触れ合いたい
- 複数飼育できる環境がある(単独飼育よりストレスが少ない)
【デグー飼育に向いていない人】
- 夏場にエアコンを使わない・使えない生活環境の人
- 長時間の外出・旅行が多く、日々の管理が難しい人
- エキゾチックアニマル対応の動物病院が近くにない地域に住んでいる人
- 鳴き声や夜間の活動音が気になる環境(集合住宅など)の人
- アレルギーを持っている人(砂浴びの砂やデグーの体毛でアレルギーが出ることがある)
特に温度・湿度管理のための電気代(月2,000〜5,000円程度の増加が見込まれる)と、エキゾチックアニマル対応動物病院の確保は、飼育前に必ず確認してください。
まとめ|原産地を知ってデグーとの暮らしをより豊かに

デグーの原産地であるチリ・アンデス山脈の環境を知ることは、飼育のあらゆる場面で活きる知識です。
この記事で紹介した内容を振り返ります。
- デグーの原産地は南米チリのアンデス山脈周辺(標高400〜1,200m)で、乾燥・冷涼・寒暖差のある気候に適応した動物です。
- 適温は20〜25℃、適湿度は40〜60%で、これは原産地の気候データとほぼ一致しており、日本の夏の高温多湿が最大の課題です。
- 食事はチモシー牧草を主食とし、糖分を含む食物は極力避けることで糖尿病リスクを下げられます。
- 砂浴びと隠れ家の設置は野生の習性を再現する重要な環境づくりです。
- 飼育開始前にはエアコン完備の住環境とエキゾチックアニマル対応の動物病院を必ず確保しましょう。
原産地の環境を知れば知るほど、「なぜデグーにはこの温度が必要なのか」「なぜ湿度管理が大切なのか」という飼育の根拠が明確になります。
根拠に基づいた飼育はデグーの健康寿命を延ばし、飼い主との信頼関係をより深めることにつながります。
ぜひ今日から原産地の知識を日々のデグー飼育に活かし、デグーとの豊かな暮らしを実現してください。


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